初めまして。フリーランスで筆耕士をしている清水克信です。筆耕コムというサイトを運営して、法人個人問わずに筆耕業務を承っています。
筆耕とは『文字を書くことで収入を得る事』を言います。古くは鎌倉時代に写経をする仕事を筆耕と言っていました。現代は、賞状、宛名書き、熨斗袋、目録、式辞、選挙為書き・・・など、業務は幅広く存在します。
この記事を書いているのが2月なのですが、2月は筆耕コムにとって最大の繁忙期です。卒業証書の名入れのシーズンなのです。毎年この時期は朝から晩まで書き続けています。
そんな筆耕士の僕は実用書道の専門家です。もちろん、行書・草書・かな・・・ほかの書体も書けますが、最も得意なのは楷書ということになります。そんな実用書道のプロが、『文字が劇的にきれいになる3つの法則』をご紹介します。
『今日から美文字!』とタイトルに書きましたが、決して大げさではないですよ!
大人でも短期間で驚くほど美文字に!?
美文字を書くためには「幼少期から書道教室に通っていないと無理!」と思っていませんか?
決してそんなことはありません。大人も美文字になれますし、長年の修練が必要だということもありません。大人でも短期間で驚くほど美文字になることは可能なのです。
美文字は理論です。
理論というと難しく感じるかもしれませんが、要するに『整え方』を知るということです。しかも、1文字1文字覚える必要はありません。文字をきれいにするためには法則があるので、その法則を当てはめていけばOKなのです。
文字を綺麗にする法則は細かく分けるとたくさんあります。もし、あなたが書道家になりたいのなら覚える必要があるでしょう。しかし、普段使いの文字を綺麗に整えるという目的であれば3つの法則だけを知ればあなたの文字は劇的に変わります。
それでは具体的に3つの法則を紹介していきます。※今回は【漢字】の法則です。【ひらがな】や【カタカナ】についてはまた後日記事でご紹介します。
①右上がりの法則
横画は若干右上がりに書きます。
この若干というのがポイントで、水平よりもやや右上がりになっていればOKです。慣れてくると極端に右上がりに書いたり、1つの文字の中で右上がりの角度を変えたりもしますが、初めのうちは全ての横画を若干右上がりに書いてみてください。
元々、漢字は右利きの人が書くことを想定して作られています。右利きの人が正面に紙を置き、肘を軸に水平な線を書くと勝手に右上がりになります。実は、文字が右上がりになるのは自然な流れなのです。
②右下重心の法則
右下に重心を掛けるように書きます。
これは文字に安定感を持たせるためで、右下に重心を置くことで文字はどっしりとした雰囲気になります。
毛筆であれば太さで重心を表現できますが、ペン字の場合は長さや外側への開きで表現します。これも右上がりと同じで、若干で構いません。慣れてきたら極端に書いてみてもいいでしょう。
③等間隔の法則
上下・左右の空間、横画同士・縦画同士は等間隔に書きます。
文字が枠の中にあると想像したときの文字全体の上下の空間、左右の空間を均等にします。これを意識するだけで、必然的に文字は真ん中に揃います。
横画同士の等間隔は、例えば3本以上の横画が並んだ場合に等間隔にします。横画同士の等間隔も同じです。横画と縦画で囲まれた空間を持つ文字なら、空間を等間隔にします。
実は、今回の3つの法則の中で最も重要と言えるのがこの『等間隔の法則』です。文字に自信が無ければ、この等間隔だけでも意識してみてください。間違いなく文字は改善していきます。
まとめ
文字が劇的にきれいになる3つの法則
①右上がりの法則
②右下重心の法則
③等間隔の法則
今回紹介した3つの法則は、美文字を書く上での絶対基本となります。
自分の文字に自信がない方でも、この3つの法則を頭の片隅に置くだけで間違いなく美文字に向かっていきます。また、すでに美文字の練習をされている方も、この3つの法則を知るか知らないかで上達の速度が変わってきます。
専門的な話になってしまいますが、この法則は唐の時代の『九成宮醴泉銘』に則しています。『九成宮醴泉銘』は楷書の極則と言われ、日本の書写教育の基礎となっています。
全ての美文字に当てはまる法則なので、ぜひ実践してみてください。
美文字はビジネスを加速する
昨今の美文字ブームのおかげで、ペン字を学ぶ大人が増えています。実際にユーキャンやがくぶん等の大手通信講座では、常にペン字の講座がランキング上位に君臨しています。
今はデジタルの時代なので手書きで文字を書く機会は減っているはずなのに、美文字に対しての意識は減っていないのが面白い現象であり、書道の世界に住む僕にとってはうれしい限りです。
幾ら手書きで文字を書く機会が減っていたとしても、ゼロになることはありません。そんな時にサラッと美しい文字を書くことができたらカッコいいですよね。一目置かれる存在になるかもしれません。
事実、文字がきれいな人は印象も良くなります。特に学校の先生や政治家は顕著でしょう。能力の高い人や社会的地位の高い人が汚文字の場合の印象は?逆に美文字の場合の印象は?想像は難しくありません。
たかが文字、されど文字。せっかく能力を高めても、書かれる文字によって印象が左右されることがあったらもったいないです。
特にフリーランスの場合は自分自身が武器になります。スキルや経験の一つに美文字を加えてみてはいかがでしょうか?
美文字は理論なので、美文字の習得は決して難しい事ではありません。
自分自身を高めるためにも、まずは今回ご紹介した3つの法則を覚えていただき、さらなる美文字に挑戦していただいたら嬉しいです。